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2017.6.19

戦争映画の新たな金字塔『ハクソー・リッジ』

ハクソー・リッジ-02

 

 第2次世界大戦中の米国、ヴァージニア州。主人公のデズモンドは「汝、殺すことなかれ」という宗教上の教えを守るため武器を持つことを拒否しながらも、衛生兵として陸軍に志願入隊します。映画の前半では彼の子供時代、婚約者との運命の出会い、そして入隊後の困難の日々が描かれ、後半では沖縄戦が描かれています。

 

ハクソー・リッジ-03

  題名の「ハクソー・リッジ」とは、米軍が史上最大の苦戦を強いられたと言われる沖縄の断崖絶壁のこと。崖の上では敵のものとも味方のものとも知れない銃弾が激しく飛び交い、ナイフや手りゅう弾を手に米兵と日本兵が取っ組み合うような、狂気の接近戦が繰り広げられます。そんな超極限状態の中でデズモンドは「殺すのではなく命を救う」という途方もない戦いに挑むのです。他の衛生兵なら見捨てるような重症の兵士にも応急処置を施し、励ましながら肩に担ぎ上げて銃弾の中をひた走るデズモンド。戦場の描写は非常にリアルですが、一人でも多くの兵士を助けたいという彼の神々しいまでの信念が、凄惨さの中にくっきりと浮かび上がります。驚いたことに彼は、仲間の米兵だけでなく敵である日本兵も助けるのですが、そのこと自体をあえて強調することもなく淡々と描いているところに、敵味方を超越した存在であるデズモンドの真髄を垣間見るようです。

 

ハクソー・リッジ-02

  私生活では何かと破天荒なイメージのメル・ギブソンですが、95年に監督・主演を務めた『ブレイブハート』はアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞しており、監督としての腕は超一級のお墨付きです。また『沈黙-サイレンス- 』での熱演が記憶に新しい主演のアンドリュー・ガーフィールドは、偶然にもまた信仰を貫く役どころ。持ち前のピュアな存在感で、人並み外れた信念と勇気を持つ青年デズモンドを見事に体現し、絶賛されています。信仰の何たるかを問う『沈黙- サイレンス-』と、戦場の不条理を容赦なく描いた塚本版『野火』の両作に通ずるような『ハクソー・リッジ』。この先もずっと語り継がれる戦争映画であることは間違いないでしょう。

 

『ハクソー・リッジ』作品詳細はこちら

(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

フォーラム番組編成 橋浦 綾

 

 

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