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FORUM CHINEMA NETWORK フォーラムシネマネットワーク

メッセージ from フォーラム

いい映画がいい映画ファンを生み、いい映画ファンがいい映画館をつくる

2014.2.1

 米アカデミー賞が、日本時間で3月3日のお昼に発表されます。その発表に向け、フォーラム山形で2本のノミネート作品が公開されます。2月28日から『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』。3月3日から『ダラス・バイヤーズ・クラブ』です。どちらも全国的に大公開される大きな作品ではありません。

 『ダラス・バイヤーズ・クラブ』は、作品賞、主演男優賞、助演男優賞など6部門のノミネートを受け、各県1、2館に拡大公開されます。フォーラムは去年の12月に試写を観た段階で全地区での上映を決めていたので、今回、同時公開に組み入れられました。春休みの大作群の中でなかなかすきまがなく、月曜日スタートという変則公開です。

 HIV陽性で余命30日と宣告された男が、未承認薬の共同購入組織を作り、たった一人で戦いを挑んだ実話の映画化です。主演男優賞、助演男優賞が有力と云われていますが、ヘビーな映画ファンには、賞に関係なくお薦めしたい映画です。

 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』は去年11月に試写を観て上映を決めました。ロングライドという配給会社は小さいながらも、心にくい秀作を仕入れてきます。そして私たちフォーラムをずっと応援してくれている会社です。全国たった7か所の公開規模でも、その1か所に山形を指定してくれたりしたこともありました。山形の観客の良質さ、グレードの高さを理解してくれているのです。

 映画は、年老いて運転免許証を返上した父親が、100万ドル当たったという手紙につられて、ネブラスカまで歩いて行こうとする。息子はそんなのはインチキだと思いながらも、父親を車に乗せてモンタナから旅をする話です。

 私は、3年前に亡くなった父が思い出されて、とても冷静には観られない映画でした。息子として俺はこの映画の主人公ほど父親にやさしくなかった、と悔やまれたからです。

 父親が健在な方はまだ間に合います。ぜひご覧ください。

 今回、『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』の公開は全国31館。その中で山形は一番人口の少ない街です。でも、結果としてその中で入場者数がいちばん少ないという成績は残したくないと思います。

 映画を自分の人生の中でかけがえのないものだと思っている映画ファンの方々に圧倒的に支えていただいて、『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』や『ダラス・バイヤーズ・クラブ』を優先的に上映できるフォーラムの今の在りようを、今後も保っていきたいと思います。 30年前、私たちが作ろうと思ったのは、映画ファンが誇りを持って「自分たちの映画館だ!」と断言できる映画館でした。フォーラムはこの30年、映画ファンに喜ばれる上映作品選定に努めてきましたが、本当のところ、それを支えてくれるのはその作品を確実に観る観客の皆さんです。無理を言って番組を組むことは1回2回はできますが、成績という形で結果を出せなければ長続きしません。いい映画館を作るためには、観客の皆さんが自覚的にいい映画を観ることで映画館を支える。その積み重ねがいい映画館を作り、いい映画館にいい作品が集まるという好循環が生まれるのです。

 『鑑定士と顔のない依頼人』は去年試写を観て、「もう一度見たい!」と思いながら、連日試写室が満席なので、フォーラムでの劇場公開を待ちわびた映画です。配給会社は「極上のミステリー」として宣伝していますが、謎解きの要素は入り口に過ぎず、「人はどう生きるべきか」を問いかける今年最高の1本です。この映画をどう解釈するかによって、その人の人生観がすべて現れるといっても過言ではありません。個人的には3月一番楽しみな映画です。2回目観たくなっても間に合うように、1回目は早めにご覧ください。

2014年2月27日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)