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2019.10.1
『ジョーカー』
愛への恐れが人を闇に落とす。
FORUM SELECTION
世界最古の歴史を誇るヴェネチア国際映画祭は、アート性の高い映画を高く評価すると言われています。その映画祭で、グランプリである金獅子賞を『ジョーカー』が獲得したというニュースが飛び込んできました。アメコミというジャンルがただの娯楽を超えてアート性を持ち始めた象徴となる映画は、2008年の『ダークナイト』でした。今は亡きヒース・レジャーが演じたジョーカーは、従来の悪役像を根底から覆すインパクトがあり、今でも語り継がれる伝説となっています。それから11年がたち、ジョーカーという稀代の悪役の誕生秘話を描いた今作が金獅子賞に輝くというのは、感慨深いものがあります。
『ダークナイト』の終盤で、逆さに吊られたまま、ジョーカーはこう言います。「狂気は重力のようなもの。人はひと押しで落ちていく。」実際にこの映画では、人を幸せにするコメディアンに憧れる心優しき青年アーサーが、徐々に狂気に落ちていく様子が描かれます。ホアキン・フェニックスの演技は、ヒース・レジャーに勝るとも劣らない驚きの境地に達し、観た者にいつまでも忘れられない印象を残します。本作に影響を与えたとされる『タクシー・ドライバー』(1976年)と『キング・オブ・コメディ』(1982年)の主演であるロバート・デ・ニーロが、アーサーの憧れるコメディアンを演じているのも見どころの一つです。
本作の物語は1980年代を舞台にしていますが、アーサーのおかれた境遇、たどった運命は、現代にも警鐘を鳴らしています。本作がヴェネチアで上映されたところ、「女性への憎悪を募らせる男性を力づけ、暴力を助長する恐れがある」という声があがったそうです。そんな大げさな、と笑い飛ばすことが本当にできるでしょうか。「自分は誰にも愛されないのではないか」という恐れに負けた者は、誰しも重力のように闇に落ちていく可能性があるのかもしれません。今年最大の話題作をぜひお見逃しなく。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 純)
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