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2019.12.17
悲劇の時代をファンタジーとユーモアで包みこんだアカデミー賞大本命の感動作。『ジョジョ・ラビット』
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手塚治虫の『アドルフに告ぐ』でも描かれていますが、1936年から第二次世界大戦まで、ドイツの子供たちは全員がヒトラーユーゲントに所属することを義務付けられており、そこでは軍事訓練と同時にユダヤ人に対する徹底した人種差別教育が行われていました。この映画の主人公であるジョジョも、10歳でヒトラーユーゲントに入ります。ジョジョは悪気のない子供であり、ナチスの意味はよく分かっていませんが、自分を助けてくれるのはアドルフ・ヒトラーだけと考え、自分にしか見えない幻想の友達アドルフと会話するようになります。そんな中、母親が自分に内緒で家の中にかくまっているユダヤ人の少女がいることに気づき、奇妙な交流が始まります。しかし、住んでいる街に戦火が迫り、平穏な日常が少しずつ崩れていきます。
〈ナチス〉は映画史における一大テーマで、いろいろな切り口や手法で語られてきましたが、この映画には「こんなに斬新な表現方法があったのか!」と驚かされました。母はユダヤ系、父はマオリ系というマイノリティーである新進気鋭のワイティティ監督自身が、ジョジョの幻想の友達アドルフ・ヒトラーを演じており、現代的な言葉遣いで愚痴を言ったりジョジョを励ましたり、二人の掛け合いは漫才のようです。ナチスの面々もどこかおかしくブラックな笑いに満ちています。街の人々の服装はとてもカラフルで、従来の戦争映画のイメージとは異なりますが、実際に当時の写真を見ると意外と明るい服を着ていたそうです。また音楽も驚くほどポップで、なんとビートルズの『抱きしめたい』がドイツ語で歌われます。この映画には、ファシズムとヘイトを、ファンタジーとユーモアで乗り越えようとする意志が感じられます。
アカデミー賞に一番近いと言われるトロント国際映画祭観客賞を受賞した本作は、間違いなく心に残る1本となります。ぜひご覧ください。
(フォーラムシネマネットワーク番組編成 長澤 純)
(C)2019 Twentieth Century Fox
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