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アカデミー賞のノミネートが発表されました。

2011.2.1

 アカデミー賞のノミネートが発表されました。2月28日に本選発表になるので、結果はその発表を待てばいいのですが、作品賞でノミネートされた10本のうち8本を現時点で観ることができました。やはりすごい作品群です。特に、監督賞にもノミネートされた5作品は、どれも1級品です。作品賞も監督賞も最終的には1作品に決まるわけですが、このノミネート5作品全部をおすすめしたいと思いこの稿を進めたいと思います。

 最多12部門ノミネートの「英国王のスピーチ」。10部門ノミネートの「トゥルー・グリッド」。そして8部門の「ソーシャル・ネットワーク」。主演女優賞にもノミネートの「ブラック・スワン」。そして、助演賞に3人もノミネートされた「ザ・ファイター」。この5作品が、作品賞と監督賞にダブルノミネートされた、今年見逃してはいけない秀作群なのです。

 「ソーシャル・ネットワーク」は現在上映中なので、終わる前に必ず観て下さいとしか言いません。ゴールデングローブ賞はきっちりと獲得しています。

 「英国王のスピーチ」は現在の英国女王エリザベスのお父さんであるジョージ6世の実話に基づいたお話です。ジョージ6世は子供の頃から吃音(きつおん)で、ほとんどスピーチができなかったのですが、まわりの人々に助けられ、自分でもすごい努力をして、あのナチスドイツとの戦争の時代を、国民の先頭に立って生きた感動のストーリーです。山形の公開は4月23日から。

 「トゥルー・グリッド」は、年輩の方々には、ジョン・ウェインの「勇気ある追跡」のリメイクと言ったほうがわかりやすいだろうか。父親を殺された14歳の少女が、酔いどれの連邦保安官を雇い、犯人を追跡する、“真の勇気”の初めての旅の物語。アカデミー賞常連のコーエン兄弟の、これまでの最大ヒット作品となりました。「勇気ある追跡」とは比較にならない作品の濃密さ。助演女優賞にノミネートされた14歳の新人ヘイリー・スタインフェルドの今後にも注目したい1作です。山形公開は5月14日の予定です。

 この感動は何なのだ!と2度も試写を観てしまった「ザ・ファイター」は家族に支えられ(振り廻され)ながらファイトを重ねる若きボクサーの実話を元にした映画。かつてあこがれのボクサーで今やジャンキーの専属トレーナーの兄と過保護でヒステリックな母(共にゴールデングローブ賞受賞)、そして7人の姉たちと反目する勝ち気な恋人。こんなにぎやかな家族に囲まれながら黙々とファイトする主人公。これほどまでドロドロとした人間関係の中で私たちは生きているのかと、改めて思い致す物語です。2度観ても感動の深さは変わりません。傑作です。山形公開は5月14日。

 「ブラック・スワン」はナタリー・ポートマン主演のバレエ映画です。「レオン」以外のナタリー・ポートマンは大根だ!と思い込んでいましたが、今回は、主演女優賞のノミネート、納得です。ラストのブラック・スワンのシーン、ふるえました。当初、単館系の公開予定でしたが、拡大系に変更になりました。5月13日に全国公開になります。

 以上5作品は、どの作品が受賞しても、賞からもれても、是非ご覧ください。映画ファンであることの至福をお約束します。

 おまけにもう1本おすすめしたいのは、作品賞と主演女優賞にノミネートされた「キッズ・オールライト」上映時期は未定ですが、気にかけてください。女性のゲイカップルが、人工授精でひとりずつ子供を産んでファミリーとして暮らしている4人家族と、精子提供者の、シリアスなドタバタ・コメディーといった、変な映画です。大好きなアネット・ベニングが素適に“お父さん”してます。

 アカデミー外国映画賞の中国代表だったけどノミネートの5作品からもれてしまった、「唐山大地震」を3月26日から上映します。76年7月の地震?。同時代に生きていたのに全く記憶にありません。25万人も亡くなるという、20世紀最大の震災を知らずにいました。しかしこの映画は被害の大きさを描いたものではありません。四川大地震までの32年間、ある家族をおそった、傷の深さを描いた映画です。観た人の92%が、平均4回泣いたという調査があります。私は後半、泣きっぱなしでした。久々に、山形で1万人の方々に観ていただきたいと思った映画です。

 さて、高校で同級生だった、映画監督の池田敏春が志摩の海で亡くなりました。志摩は池田が監督した「人魚伝説」のロケ地です。大手町フォーラムで彼の監督特集を上映し、香澄町フォーラムでは「ハサミ男」「秋深き」の上映と、監督のトークショー、そして交流会も行いました。実は昨年の11月、根岸監督に声をかけていただいて、池田と3人で飲んだのですが、その1ヶ月後に亡くなるなんて想いもしませんでした。

 桜の季節、池田をしのぶ上映会を計画しています。次号のフォーラムだより発行までに詳細を決めますが、4月19日を予定しています。志摩の海で亡くなったのだから、「人魚伝説」の上映で、送りたいと思います。しめやかにご参加ください。

(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)

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