メッセージ from フォーラム
大震災後の営業再開にあたって
2011.3.1
マグニチュード9.0という巨大地震が発生し、10メートルを超える大津波が、福島、宮城、岩手、青森の海岸を襲いました。死者・行方不明者2万人以上という未曾有の大惨事になりました。その中でも、フォーラム各劇場のお客様や従業員に負傷者がなく、無事に避難・誘導することができました。しかし、映写機が倒れたり、動いたり、停電・断水という事態で、全サイト1週間以上の休業を余儀なくされました。
計画停電や節電要請もあり、当面限られた営業時間になりますが、3月19日から、山形、東根、那須塩原、盛岡、八戸の営業を、22日から仙台の営業を再開しました。休業中に公開予定だった作品も上映します。ただ、19日から公開予定の作品は、物流のストップで届いていないフィルムもあり、公開が延期されます。
福島は原発問題が続いていることもあり心配ですが、4月2日から営業再開をすべく準備をしています。地震は天災なので人事を尽くして立ち向かう元気もわいてきますが、原発事故は人災です。この地震大国で、津波を想定外に置くなんてプロじゃありません。東京電力は会社を継続させる資格がないと、事故の対応を見ながら確信しました。電力業は自由化して、競争原理を導入すべきです。
さて、キネマ旬報ベストテンの外国映画第1位になった『息もできない』を山形で特別上映します。愛を知らない、取り立て屋の男と、傷ついた心を隠した勝ち気な女子高生ヨニ。がんじがらめの家族のしがらみの中で、心を傷だらけにした二人の魂が結びつく。息苦しい傑作です。こういう映画は、スクリーンの暗闇の中で体感してください。きっと、忘れられない映画になります。7日間の特別上映です。
『わたしを離さないで』は、全国で20本のプリントしかない単館系の映画ですが、フォーラムには仙台と山形に2本のプリントが配置された奇跡の映画です。寄宿学校で出会い、農村のコテージで共同生活を始める3人の男女。美しく静かな描写のあとに訪れる衝撃の真実。かつてない映画です。数少ないプリント数なのに、フォーラムに2本も配置してくれた配給会社の英断に感謝します。 大震災直後の営業再開ですが、私たちは、心から映画を楽しめる心豊かな生活を目指します。かつてない大災害なので、今後の経営にどれほどの影響があるのか現時点では正確には予測不能ですが、阪神・淡路大震災から学ぶと、今後1年間は大苦難の道が待っているように思われます。映画とフォーラムをこよなく愛する方々によろしくご支援くださいと、心よりお願い申し上げ、営業を再開します。
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)
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