メッセージ from フォーラム
夏映画、後半が始まります!
2012.8.1
まず、夏休み映画前半の景況です。『BRAVE HEARTS 海猿』が期待通りの大ヒットになりました。トータル70億円以上が確実で、この夏のNo.1になるでしょう。『ポケモン』は前年比85%くらいか。『ヘルタースケルター』はオシャレな若い女性をしっかり集客して、期待以上の大ヒット。客席が久々に華やかになりました。男性の姿が予想より少ない気もします。オジさんにもぜひ見ていただきたい"キレイさ"です。20億円越えを期待します。そしてこの層が、秋に何を観てもらえるのか、とても楽しみです。
『おおかみこどもの雨と雪』と『メリダとおそろしの森』のアニメ日米対決は、ファミリーだけでなく、名画ファン・アニメファンの大人を引き付けた細田守監督の圧勝です。『メリダ』は10億円前後。『おおかみこども』は30億円以上、どこまで伸びるか。ということで、突然ですが、細田守監督『時をかける少女』を8月4日から再上映します。二作目の『サマー・ウォーズ』はかなりの方々に劇場で観ていただきましたが、一作目の『時をかける少女』を劇場で観たのは、ほんのひとにぎりの映画ファン・アニメファンだけです。『おおかみこども』を観た方は、ぜひ全員に観ていただきたいを思います。配給会社の協力も得て、500円均一で上映します。
今日から『ダークナイト・ライジング』が始まりました。『バットマンビギンズ』で始まった新シリーズもついに三部作最終作。アメリカでのとてつもない大ヒットと比較すると、日本では静かだった『ダークナイト』ですが、監督クリストファー・ノーランへの評価はすこぶる高い! 今回も期待を裏切らないクオリティで、2時間45分があっという間の充実度です。今日のスタートは静かですが、何とか20億円を超えてほしいなと願っています。
『トータル・リコール』はまだ日本での試写が始まっていません。シュワルツェネッガーが主演した前作は、本当に面白かった。なりたい自分になれる"記憶"を買うという着想はかなり時代を先取りしていたが、今回はどこまでイメージを拡げてくれるか、楽しみです。この夏のダーク・ホースかなと期待しています。
『アベンジャーズ』はお盆の14日から。世界中で大ヒットして日本の公開が最後。配給側の目ろみは70億円と、この夏のトップが目標だが…。アメコミヒーローのオリンピックのような映画です。配給責任者の木村さんは、業界デビューの頃からおつきあいがありますが、熱血映画青年です。ぜひ応援してあげてください。観る前より、観たあとの方がずっと納得できる映画です。キャッチコピーは「日本よ、これが映画だ!」
夏映画のラストを飾るのは『プロメテウス』と『あなたへ』。『プロメテウス』は先行・先々行と早めの上映があるので、ぜひ、予備知識なしでご覧ください。あの名作『エイリアン』の前章です。 『あなたへ』は高倉健主演、降旗康男監督の最後の作品です。東映の任侠映画や『網走番外地』シリーズの高倉健を、『冬の華』『駅 STATION』『居酒屋兆治』『あ・うん』『鉄道員(ぽっぽや)』と人生の光と影を描く名優に育て上げたと言ってもいい降旗康男監督。二人の最後の共同作業。しっかりお楽しみください。
『アナザー Another』と『桐島、部活やめるってよ』は、夏休み中高生にどれだけ支持してもらえるかが勝負の映画です。『桐島、部活やめるってよ』は試写室がいつも混んでいて、ようやく観られました。映画ファンも楽しめる傑作でした。試写室が混んだのはクチコミのせいでした。
ミニ・シアター系は『ワン・デイ 23年のラブストーリー』がおすすめです。また、『ベイビーズ いのちのちから』は、子育てに自信を持てるようになる、不思議な映画です。『おおかみこどもの雨と雪』も実は、子育て応援映画なのです。21世紀の少子化の時代ですが、子育ての楽しさを映画から学ぶ時代なのかもしれません。
ちょっと先の映画ですが『のぼうの城』を観ました。この映画は、2003年の城戸賞(新人シナリオライターの登龍門)を受賞したシナリオ(タイトル『忍ぶの城』)を、ぜひ映画化したいとベテランのプロデューサーが立ち上がりましたが、製作委員会に参加する企業が少なく、製作できませんでした。そこで、シナリオ作家に、小説化することを提案。2007年『のぼうの城』出版。翌年、本屋大賞第2位に選ばれベストセラーに。2008年秋、映画化正式決定。2009年クランクイン。2010年クランクアップ。しかし、編集中に東日本大震災。水責めの内容を考慮して、公開を2011年9月から一年延期。水責めのシーンを大幅カットして映画が完成。2012年11月2日映画公開という、ドラマチックな映画みたいな完成秘話です。そして、完成した映画は「すばらしい!」の一言です。 お楽しみにお待ちください。
2012年7月27日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)
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