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『そして父になる』と『許されざる者』

2013.9.1

 『風立ちぬ』が7週間連続でNo.1ヒットを続けています。全国の入場者数はすでに700万人を超えました。上映はまだまだ続きます。トータル1000万人を超える予測が出ています。大人のメルヘンとも言うべき"難しい"映画が、ここまで大健闘するとは。日本の映画ファンの知性の高さというか、この国の文化度の高さを感じさせる出来事です。まだ観ていない方々に広くお薦めください。

 宮崎駿監督がもう長編映画は監督しない、と、引退を表明しました。今回の映画は遺言とかいう言い方もありましたが、本当に最後だったんですね。ソラリスでは、入場者数が2万人を超えるまで、きっと来年まで上映し続けようかと思っています。

 今年5月のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞した福山雅治主演・是枝裕和監督の『そして父になる』が、いよいよ公開されます。6年間育てた息子は、病院で取り違えられて、実は他人の息子でした、というショッキングな内容です。もし、自分の身に起こったら…と考えたら、夜も眠れなくなるほどのショッキングなお話です。このまま他人の子を育て続けるか、交換して実の子を育てるか、どちらかを選択しなければならないし、どちらを選択しても、これでいいと納得できるものではありません。むごい映画です。子を持つ、すべての親に観てもらいたい。彼らの選択に立ち会っていただきたいと思います。息詰まるような苦しさと、深い感動に包まれます。本当にすさまじい映画です。

 公開は9月28日(土)ですが、24(火)から27(金)は先行公開ということで、実質的には9月24日(火)からの上映になります。フォーラムファンの方々に、ぜひ早めにご覧いただいて、クチコミで拡げていただきたいと思います。日本映画、本年度ベストワンの秀作です。当初予定より3倍くらい公開館が増えました。フォーラムは全館で上映します。大ヒットさせて是枝監督をお迎えしたいものだと思っています。20年ほど前、ドキュメンタリー映画祭を見に、大手町のフォーラムにお客様として来られたことはありますが、監督として自分の作品についてお話していただいたことはありません。この映画を、全国レベル以上に大ヒットさせて、監督をお迎えしたいというのが私の願いです。ご協力をお願いします。

 9月13日(金)から『許されざる者』が公開されます。オリジナルは1993年に公開され、アカデミー賞作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した西部劇です。監督・主演はクリント・イーストウッド。今回は、舞台を1880年の北海道に置き換えて、渡辺謙主演、李相日監督(『悪人』『フラガール』の監督です)の日本映画大作です。この映画の試写を観るまでは『そして父になる』で今年のベストワンは決まり! と思っていましたが、ちょっと悩んでいます。

 開拓時代の北海道の大自然の中で、壮大なロケセットを建設し、渡辺謙のほか、柄本明、佐藤浩市、柳樂優弥、小池栄子、近藤芳正、國村隼等々、個性的な役者が集合して、これまでなかった新しい日本映画が生まれたのです。これほど大規模なプロジェクトなのに、役者もスタッフもしっかり力を発揮して、壮大な映画を作り上げたという感じです。わかりやすさはオリジナル以上でしょう。『そして父になる』は静かではげしい映画ですが、『許されざる者』は大スペクタクルの娯楽映画です。人間ドラマです。登場人物たちのキャラクターの立ち方が見ものです。どちらも全国で250万人以上、30億円以上の大ヒットを目指せる大作です。映画の質感は大分違いますが、日本を代表する監督の秀作が、9月に激突します。ファンの方ならこの2本、必ずご覧ください。

外国映画のおすすめは『ダイアナ』。10月18日(金)の公開です。王室を去り、人間ダイアナとして、一人の女性として生き、そして死んだダイアナの人間を描いています。傑作です。ナオミ・ワッツの代表作です。お楽しみに。

2013年9月2日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)

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