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『清須会議』と『かぐや姫の物語』

2013.11.1

 今年もあと2ヶ月を残すばかりとなりました。秋の深まりとともに日が短くなり、芸術の秋と言いながら、映画館は苦戦するというのが、映画界の常識になりつつありました。しかし昨年は『ヱヴァ』に助けられ、今年は11月1日から『SPEC 結』二部作の『漸ノ篇』が大ヒットして日本中の映画館が大活況を呈しています。さらに9日からは三谷幸喜の最新作『清須会議』が公開されます。

 三谷幸喜と云えば『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』の3作品がともに40~50億円の大ヒットになって、今回も当然のこととして同じく大ヒットが期待されています。作品の仕上り、そして製作元のプロモーションの"本気度"からして50億円は十分狙えるのではないかと思っています。

 戦国時代を終わらせたのは信長・秀吉・家康の三人の武将というのは常識として知っていても、その権力の継承がどんなふうに行われたかは、それほど知られているわけではありません。『清須会議』は信長の後継を会議で決めた史実を元にした映画であり、日本人必見の映画というか、日本の民主主義が戦国時代から行われていたことを示す(?)歴史的な映画です。とはいえ、秀吉が天下を取るまでは「賤ヶ岳の戦い」があり、家康には「関ヶ原の戦い」、さらに冬と夏の「大坂の陣」がありました。「清須会議」は、あの時代にあってはとても特殊な大イベントだったのでしょう。映画は、清須城を美しく再現していますが、同じ三谷幸喜の小説版では、秀吉が城外の寺を宿舎にして頭脳線を勝ち取っていった様子が描かれています。映画を楽しんだ後は、小説版も是非お楽しみください。

 さて、11月は映画ファンにとってもうひとつ、とても楽しみな作品があります。11年ぶりの高畑勲監督の新作『かぐや姫の物語』です。実は、この映画の試写を待ってこの稿がずるずると遅れてしまったのですが、前作から11年。『かぐや姫の物語』の企画スタートから8年。当初、『風立ちぬ』との同日公開の予定でしたが、製作の遅れから公開を4ヶ月延ばしました。総製作費が50億円にもなってしまった『かぐや姫の物語』。はたしてどう仕上がったのか…

 私は試写を観ましたが、もう2週間で劇場公開されます。"評価"はあなた自身でお願いします。高畑勲監督は、日本のアニメ界の至宝です。そしておそらくこれが最後の長編映画です。宮崎駿監督も引退を表明して、ジブリもひとつの時代を終えます。二人の老巨匠に敬意を表して、若き才能の出現を待ちましょう。

 12月21日公開ながら、原作を2回読んで、試写も2回見た『永遠の0(ゼロ)』。原作も良かったのですが、今、映画化する意味を熱くするために加えた、映画独自のエピソードによって、今回は圧倒的に映画の勝ちです。日本人必見の映画になりました。このお正月一番のおすすめ映画です。

2013年11月9日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)

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