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メッセージ from フォーラム

今年のアカデミー賞はたくさんの作品に分散しました

2014.3.1

 この夏、フォーラムは30周年ということで、少し"歴史"を振り返ってみたいと思います。

 42年前、私は山形大学工学部の学生でした。「映画研究会」という映画サークルをつくり、自主上映活動を行っていました。黒澤明の『七人の侍』を上映しようとした時、市内の映画館からのクレームで、貸出フィルムが差し止められました。あわや、上映中止!?、ということであわてて映画館と話し合いを持ちました。

 映画館側の主張は「素人に映画興行を許すことはできない」というものでした。「じゃ、映画館で上映してください」と言うと、「名作映画は儲からないから上映できない」。「えっ、映画館って金儲けでやってるの?」。「当たり前じゃないの!」。私は全くのド素人だったのです。

 結果、「入場料を取らなければ興行じゃない」ということで、無料上映にすることで事なきをえましたが、フォーラムをつくる原点はこのやり取りの中にありました。つまり、「儲けなくてもいい映画館を作れば、どんな映画でも上映できる」という、逆転の発送でした。

 映画ファンにとっては、自分たちが観たい映画を自由に選んで上映できる、自分たちの映画館がほしい。そのためには、自分たちでお金を出し合って映画館を作り、自分たちがボランティアで運営すれば、お客の少ない儲からない映画でも上映できる。そういう映画館こそ映画ファンには理想の「われらの映画館」なのだ。自分たちが観たい映画を上映したら、誰もその映画館からは給料をもらえないだろうから、30人から50人のボランティアが月に2~3日分担して運営するというイメージでした。

 さて、そんな理想の映画館をどうすれば作れるか。

 1.お金を出せる本物の映画ファンを200~300人集める。

 2.ボランティアで月に2~3日タダ働きできる若者を100人集める。

 3.儲からない映画館でもつぶさないで経営できるプロのノウハウを、自分がしっかり勉強する。

 ということで、フォーラム開業の10年前から、現場修行を始めました。開業までの10年間に、2スクリーンの映画館を併設することや、前の席と段差のある客席にすることとか、イメージは少しづつ形になっていきました。

 この続きはまた別の稿で。

 さて、今月の映画ですが、アカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』がゴールデンウィークに登場します。原題は『12 YEARS A SLAVE』。ある日突然捕まえられ、奴隷として売られ、12年間、奴隷生活をするという内容で、自分なら生き抜けたろうかと自問するような、すさまじい映画です。目を逸らさず、耳を塞がず、直視して下さい。アメリカの映画人たちが、アカデミー作品賞に選んだ、今年No.1の映画です。

 『あなたを抱きしめる日まで』は、ジュディ・デンチが主演女優賞にノミネートされた作品。1950年代に未婚の母となり、生き別れになったわが子の行方を50年後に探しはじめる、という実話の重さに胸がしめ付けられます。

 『グロリアの青春』は、初めて観るチリ映画。チリの国情というか、人々の暮らしぶりをとても興味深く観ました。そして、主人公グロリアの58歳という年齢。若者の青春とは違うが、とにかくパワフル。ラテンの女性は元気です。ノミネートはされませんでしたが、アカデミー外国語映画賞のチリ代表作品です。

 佐々部清監督の『東京難民』は、わが日本の若者たちの格差社会がリアルに描かれています。日本という国はここまでこわれてしまったのかと、愕然としました。

 「フォーラムだより」が今月から「フォーラム・マンスリーガイド」に変わりました。ご意見ください。皆様のご意見を取り入れて、さらにいいものを目指します。

2014年3月25日
(フォーラムネットワーク 代表 長澤裕二)

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