1970年代前半のマドラス。不可解な殺人事件に巻き込まれた小心者の新米警官キルバイは、冷酷非道な悪徳警視ラトナに脅されてギャング「ジガルタンダ極悪連合」のボス＝シーザーの暗殺を命じられる。シーザーに近づくため、キルバイはサタジット・レイ門下の映像作家と偽ってシーザー主演映画の監督公募に名乗りを上げる。クリント・イーストウッドの西部劇が大好きなシーザーはキルバイを抜擢。２人の運命は思いもよらない方向に転がり始め、森と巨象のウエスタンの幕が上がる―。
伝説の “ギャングスター・ミュージカル”『ジガルタンダ』から９年、タミル語ニューウェーブ映画の鬼才カールティク・スッバラージ監督によるシリーズ２作目。ストーリー上の繋がりは薄く、監督いわく「そのスピリットにおける続編」。ギャング対映画監督という構図は踏襲しつつ、ギャング抗争と西部劇、映画界内幕とネイチャードラマとが一体となり、差別と搾取への激烈な抗議を含んだ社会派作品に仕立て上げられている。