トゥーランドット/英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2024/25Turandot
(C) 2023 Marc Brenner
プッチーニ没後100年の節目に蘇る『トゥーランドット』重厚な舞台美と音楽が映し出す、アンドレイ・セルバン演出の傑作
プッチーニが最後に書いたオペラ『トゥーランドット』は、古の中国を舞台にしたファンタジー溢れる物語だ。英国ロイヤル・オペラ・ハウスが1984年から上演し続けているアンドレイ・セルバンの演出は、昨年の英国オペラの日本公演でも絶賛された、劇場の看板プロダクションである。演劇的なアプローチ、洗練された美術・衣裳、仮面をつけたダンサーたちの振付、神秘的な照明などをスクリーンでじっくりと味わえる。来日を予定していたが、果たすことのできなかったラドヴァノフスキーが、今回題名役トゥーランドットを見事に演じている。ドラマティックな声と卓越した演技力を持つラドヴァノフスキーは、第2幕で登場し、そこで歌うアリアからさすがの完成度を見せる。それに加えて、ラドヴァノフスキーはトゥーランドットの苦しみ、悲しみ、彼女がカラフに惹かれている様子を巧みに表現する。
そして『トゥーランドット』といえば、テノールのアリア「誰も寝てはならぬ」が有名だが、すでにMETなどで大人気を誇るベクが、輝かしい高音と優しさを感じさせる役作りで、まさに理想のカラフを演じている。リューは若手のサマーフィールドがバランスのとれた魅力的な歌唱を披露する。そしてセルバンの演出ではピン、パン、ポンの活躍もめざましい。
今回、指揮を担当したのはベネズエラのエル・システマ出身のパヤーレ。一流のオーケストラからも引く手あまたのマエストロだが、その実力はオペラでも発揮された。プッチーニの中でも壮大でモダンなオーケストラの響きをくっきりと聴かせながら、歌手たちの表現に寄り添った指揮で、カーテンコールでも大きな歓声を浴びた。
ストーリー
おとぎ話の時代の中国、北京。皇帝の娘トゥーランドットは絶世の美女だが、求婚する者に三つの謎を出題し、答えられなければ首をはねるという布令を出していた。だが諸国からの挑戦者は後を絶たず、彼らは一人残らず処刑されていた。そこに祖国を敵に追われ流浪しているタタールの王子カラフがやってくる。生き別れになっていた父王ティムールと再会し喜ぶカラフ。年老いたティムールを支えてきた女奴隷リューは、カラフがかつて王宮で彼女に微笑んだことから彼を一途に思っていた。トゥーランドット姫の残酷な布令を知り、初めは反発を覚えたカラフだが、姫を一目見た瞬間にその魅力に取り憑かれ、挑戦を決めてしまう。
鑑賞料金:一般3,700円 / 学生2,500円
予告編
※予告編をご覧いただけます。
- 【公開日】
- 2025年6月20日
- 【上映時間】
- 198分
- 【上映期間】
- 6/20(金)~6/26(木)
- 【公開日】
- 2025年6月20日
- 【上映時間】
- 198分
- 【上映期間】
- 6/20(金)~6/26(木)