パリ郊外に立ち並ぶ団地には、労働者階級の移民家族たちが多く暮らしている。このエリアの一画「バティモン５」では再開発のため、老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められていた。そんななか、前任者の急逝で臨時市長となったピエールは、自身の信念のもと、バティモン５の復興と治安を改善する政策を強行する。しかしその横暴なやり方は住民たちの猛反発を招き、これまで移民たちに寄り添いケアスタッフとして長年働いてきたアビーらを中心とした住民と、市長を中心とした行政の激しい抗争へと発展していく…。
『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督が、フランス・パリ郊外の団地の一画「バティモン５」をめぐる行政と住人たちの抗争を描いた社会派ドラマ。この街で不都合なものとは一体何なのか、望まれざる存在とは何を指すのか―その真髄を映し出した本作は、まさにラジ・リ監督の真骨頂と言えるだろう。