日本の高度経済成長が始まった1958年。小さな山間の集落で生活する少年ユウチャの一家は、年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。そんな夏休みの終わり、集落に紙芝居がやってきた。演目は土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年の悲恋。お葉の涙があふれかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを感じたユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を開放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり山奥へと向かう…。CG⼀切なしの圧倒的なロケーションのなかで紡がれる伝承と解放の物語。